終末期の看取りのケアで苦しくなった編

“正しく伝えること”が、家族の後悔を減らすケア。

「もうダメなんだろ」という言葉の前で固まってしまった。逃げずに、いま伝えるべきことを伝えに戻るまで。

※個人が特定できないように、登場人物や場所、エピソードの一部に改編を加えています。「看」は相談した看護師、「相」は相談ダイヤルの相談員です。

看護師からのこんな相談!

24時間365日、看護師のための相談ダイヤル

看)今日、終末期の患者さんが家族の前で「もうダメなんだろ」って言ったんです。医師からは予後1週間くらいと聞いています。でもご家族はまだ受け入れられていなくて…。その空気がつらくて、何も言えなくなってしまいました。

相)その時に、何て答えましたか?

看)家族には、何も言えなくなって。固まってしまったんですね。家族がかわいそうだなって思ったら、自分でも何を言っているのかわからなくて。

相)“かわいそう”って、誰のことをそう感じたの?

看)患者さんももちろんつらいけど…。朝起きたら亡くなっていた、という状況になるのが怖くなって、家族がそれを見たらかわいそうだと思って…。

相)ご家族が「突然」を迎えてしまうことを心配したのですね。ご家族は、自宅看取りに対して医師から説明を受けているの?それとも、まだ最期どうするのかははっきりしていない状態ですか?

看)はい、看取りについては同意しています。でも、どう伝えていいかわからなくて。看取りのパンフレットも渡せませんでした。言葉につまってしまって…。

相)いま、そのパンフレットは持っていますか?

看)はい、持っています。

相)なら、もう一度戻って、まずそれを渡してきましょう!言いづらいことを、言いづらそうに話すから伝わらない。遠まわしな言い方をせずに、いま伝えなくてはならないことをきちんと伝えましょう。

相)「これから体に起きる変化が書いてあります。いまの時間は、とても大切な時間です。医療者にできる治療はこの時期は多くありません。いま一番の治療は、大切なご家族がそばにいることです。手を握ること、声をかけること、それが何よりのケアです。」そのまま、伝えてみて。

看)…私、逃げていたのかも。あの空気を悪いように捉えてしまっていました。

相)逃げたくなるのはわかる。でも、あなたは気づいて、こうして相談している。それは、プロとして向き合おうとしている証拠だから、自信をもって伝えていきましょう。

看)家族にとっても、本人にとっても、いまがどれだけ大切な時間かを伝えないといけないですよね。

相)そうですね。看取りの場面で、医療者にできることは多くありません。でも、“何もできない”わけではない。“正しく伝えること”が家族の後悔を減らす大切なケアです。

看)…やってみます。もう一度戻って、きちんと伝えてきます。

相)いってらっしゃい!絶対、大丈夫だから。あなたは一人じゃない。

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