看取りの看護と地域課題

「家で過ごし続けたい」を、地域で叶えるために。

最終更新: (概要版)。数字は公的統計・研究から引用し、出典と時点を添えています。

自宅で最期まで過ごしたいと願う人は多いのに、実際にそうできた人は10年でほとんど増えていません。ステーションが増えても、看取りまで引き受けられる看護師がいなければ願いは叶いません。まず数字で現実を確かめ、次に、その課題ひとつずつにトータルケアがどう取り組んでいるかを具体的なページへつなげてお伝えします。

1. 数字で見る、希望と現実

主張・数値・出典・時点の4点セット

希望と現実、看取りの担い手(出典・時点つき)
項目(主張)数値出典時点
最期を迎えたい場所に「自宅」(自宅療養を希望した人のうち・末期がんの場合)69.2%(医師69.4%・看護師68.0%・介護職員69.3%)厚生労働省 人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書2018年3月
自宅で亡くなった人の割合12.6%(2010年)→ 13.6%(2019年)→ 17.0%(2023年)。病院は65.7%厚生労働省 人口動態統計2023年
自宅等での死亡者数2010年比 約2.5倍中医協 総会 在宅(その2)2023年
ターミナルケア加算(介護保険)を算定している事業所25.2%。算定していない理由の上位に「看取り時期に医療保険へ切り替わり要件を満たせない」32.4%日本看護協会 訪問看護実態調査2023年3月
在宅看取りを実施している事業所(機能強化型以外 242か所)73.6%。管理者の看取り研修受講でオッズ比4.17、新人への同行訪問支援で3.12日本看護科学会誌 42巻2022年
機能強化型1に求められるターミナルケア実績年20件以上(24時間対応・常勤看護職員7人以上と併せて)中医協 総会 在宅(その3)2025年11月

2. 希望は約7割、現実は17%

10年でほとんど動かなかった数字

国の意識調査では、自宅で療養を続けたいと答えた人のうち、最期も自宅で迎えたい人は69.2%(末期がんの場合)。一方、実際に自宅で亡くなった人の割合は2010年の12.6%から2019年の13.6%へと10年で1ポイントしか増えず、2023年も17.0%で頭打ちです。病院での死亡はなお65.7%を占めます。

トータルケアの取り組み

3. なぜ、看取りは進まないのか

分けるのは、看護師への教育と支援

介護保険のターミナルケア加算を算定している事業所は25.2%。機能強化型ではないステーション242か所を調べた研究では、管理者が在宅看取りの研修を受けていると看取りを実施している確率は4.17倍、新人看護師に同行訪問を増やす支援をしていると3.12倍でした。看取りを担えるかどうかを分けるのは、看護師への教育と支援の仕組みです。

トータルケアの取り組み

  • 研修はすべて有給——学ぶ時間が収入を減らさないから、看取りの研修にも参加できます。育成支援 ひみつ01
  • 運転免許方式の同行訪問——見る→実践→振り返る。初めての看取りも、先輩が隣にいます。研究が示す「新人への同行訪問支援」を仕組みにしています。育成支援 ひみつ03
  • クローバー研修と学び直し——入職1年目の看護師が月1回集まり、看取り・緩和ケアを含むテーマを学び合います。育成支援 ひみつ05/Relearn
  • スーパーバイザーが同行する——看取りの経験が豊富な看護師が、同行訪問と相談で支えます。みなさんを支えるスーパーバイザー
  • 実際に看取りを担う看護師の声——看護師たちのストーリーで、初めての看取りをどう越えたかを読めます。

4. 一人で判断する重さ

「自分の判断は正しかったのか」が、最も多い不安

訪問は一人で行き、判断を一人で引き受けます。訪問看護師が感じるストレスで最も多いのは「自分の判断は正しいか」という不安で、看取りの場面ではその重さが増します。看護師が看取りへのハードルを高く感じている限り、ステーションの数が増えても「家で最期まで」は増えません。

トータルケアの取り組み

5. 地域の受け皿としての訪問看護

病院・訪問診療・ケアマネジャーと、顔の見える関係で

看取りは訪問看護だけでは成り立ちません。在宅看取りを行っていない理由として「往診医・訪問診療医が少ない」「介護者不足」が挙げられており(出典: 日本看護科学会誌 42巻)、地域の医療・介護との連携が受け皿の広さを決めます。

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