訪問看護の可能性と未来

なぜ、いま訪問看護なのか。

最終更新: 。数字はすべて公的統計・公表資料から引用し、出典と時点を添えています。

なぜ、いま訪問看護なのか。「病院から在宅へ」。国が推進し、伸び続ける確かな市場。「人生の最期は住み慣れた家で過ごしたい」多くの人がそう望みながら、受け皿はまだ足りていません。国が「病院から在宅へ」を推し進めるいま、訪問看護の担い手は社会から強く求められています。その背景を、数字でご覧ください。病院の前で看護師に見送られて家路につく親子のイラスト

「人生の最期は住み慣れた家で過ごしたい」。多くの人がそう望みながら、その受け皿はまだ足りていません。国が「病院から在宅へ」を進めるいま、訪問看護の担い手は社会から強く求められています。このページでは、国の方向性、訪問看護の現状と課題、そしてトータルケアが24時間365日の訪問と看護師の育成にこだわる理由を、数字でお伝えします。

1. 国が進める「病院から在宅へ」

増え続ける医療費と、地域包括ケアシステム

日本の国民医療費は、2023年度(令和5年度)に48兆915億円と過去最高を更新しました(前年度比 +3.0%)。そのうち65歳以上の医療費が60.1%を占めます(出典: 厚生労働省「令和5年度 国民医療費の概況」)。2016年度の約41兆円から、7年で6兆円以上増えた計算です(出典: 財務省 財政制度分科会資料・2023年11月)。

この流れの中で国は、団塊の世代がすべて75歳以上になる2025年を見据え、「住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられる」仕組み、地域包括ケアシステムの構築を進めてきました(出典: 厚生労働省)。病院の病床は機能ごとに整理し、入院から在宅へ早く戻し、在宅で療養を続けられる体制をつくる。これが国の基本方針です。

財政を預かる財務省も、医療費の伸びを抑えるために「給付の適正化」と「在宅での療養を支える体制」を繰り返し求めています(出典: 財務省 財政制度分科会資料・2023年11月)。入院に比べて在宅療養は、医療費を抑えながら本人の希望に沿いやすい。在宅医療は、これからの医療費を支える手段のひとつとして位置づけられています。

国の方向性を示す数字(出典・時点つき)
項目(主張)数値出典時点
国民医療費(過去最高)48兆915億円(前年度比 +3.0%)厚生労働省 令和5年度 国民医療費の概況2023年度
65歳以上が占める医療費の割合60.1%同上2023年度
概算医療費の推移41.3兆円(2016年度)→ 47.0兆円(2023年度)財務省 財政制度分科会「社会保障」資料2023年11月
地域包括ケアシステムの目標年2025年(団塊の世代が75歳以上に)厚生労働省 地域包括ケアシステム公表中

2. 訪問看護は、どう増えたか

ステーションは13年で3倍。けれど、国が求めているのは「数」ではない

ステーションも利用者も、急速に増えた

訪問看護ステーションは、2025年4月1日時点で全国に18,743か所。2012年からの13年間で約3倍、年平均8.8%のペースで増えてきました(出典: 全国訪問看護事業協会「令和7年度 訪問看護ステーション数調査」)。利用者も、医療保険で約57万人(2001年の11.7倍)、介護保険で約80万人(同4.3倍)に達しています(出典: 中医協 在宅(その3)資料・2025年11月)。

国が問題にしているのは「増え方」

伸びの中身を見ると、営利法人のステーションが2013年度の2,301か所から2022年度には7,476か所へと約3.2倍になった一方、医療法人は約1.1倍にとどまります。財務省は、医療保険の訪問看護には介護保険のような上限がなく「歯止めが効いていない」として、サービス提供量が極端に多い事業者の適正化を求めました(出典: 財務省 財政制度分科会「社会保障」資料・2023年11月)。

もうひとつが、リハビリ職による訪問の増え方です。ステーションの職員は常勤換算で看護師63.7%・准看護師4.2%に対し、理学療法士14.8%・作業療法士6.4%・言語聴覚士1.3%。理学療法士は看護師に次いで多い職種になりました(出典: 厚生労働省「令和5年 介護サービス施設・事業所調査」)。国はこれを受けて、2024年度の介護報酬改定で、前年度にリハビリ職の訪問回数が看護職員の訪問回数を上回るなどのステーションに対し、リハビリ職の訪問1回につき8単位の減算を新設しました(出典: 厚生労働省 令和6年度介護報酬改定)。

国が求めているのは、大規模で、24時間、重い人を受けるステーション

国が報酬で後押しする「機能強化型訪問看護ステーション」の要件は、常勤看護職員7人以上、24時間対応、重症度の高い利用者を月10人以上、ターミナルケア年20件以上など(機能強化型1)。看護師が中心となり、重い患者さんと看取りを引き受け、地域の人材育成まで担うステーション像です(出典: 中医協 在宅(その3)資料・2025年11月)。ところが現実には、利用者39人未満の小規模ステーションが35.8%を占めます(出典: 日本訪問看護財団「訪問看護の現状とこれから 2025年版」)。

そして最大の課題が、訪問看護師そのものが増えていないことです。国の試算では2025年に訪問看護師が12万〜13万人必要とされ、業界は15万人を目標に掲げてきました。しかし就業看護師のうち訪問看護ステーションで働く人は6.7%(2024年末)にとどまり、ステーションの看護職員は常勤換算で約7万人です(出典: 厚生労働省 衛生行政報告例・介護サービス施設・事業所調査)。ステーションの数は増えても、本来の役割を担う看護師は追いついていません。

訪問看護の伸びと中身(出典・時点つき)
項目(主張)数値出典時点
訪問看護ステーション数(稼働)18,743か所(2012年比 約3倍・年平均 +8.8%)全国訪問看護事業協会 ステーション数調査2025年4月1日
利用者数(医療保険/介護保険)約57.2万人(2001年の11.7倍)/約79.9万人(同4.3倍)中医協 総会 在宅(その3)2025年(令和7年6月審査分・速報)
営利法人のステーション数2,301 → 7,476か所(約3.2倍)。医療法人は約1.1倍財務省 財政制度分科会「社会保障」資料2013年度→2022年度
職種別の職員割合(常勤換算)看護師63.7%・准看護師4.2%・理学療法士14.8%・作業療法士6.4%・言語聴覚士1.3%日本訪問看護財団(厚労省 令和5年 介護サービス施設・事業所調査より)2023年
リハビリ職の訪問に対する減算前年度にリハビリ職の訪問回数が看護職員を上回る等の場合、1回8単位減算厚生労働省 令和6年度介護報酬改定2024年度
機能強化型1の要件常勤看護職員7人以上・24時間対応・重症者10人以上/月・ターミナルケア20件以上/年 など中医協 総会 在宅(その3)2025年11月
小規模ステーション(利用者39人未満)の割合35.8%日本訪問看護財団2023年
訪問看護ステーションで働く看護師の割合就業看護師の6.7%(常勤換算6.4%)厚生労働省 衛生行政報告例(報道)2024年末
訪問看護師の必要数2025年に12万〜13万人(業界目標15万人)日本訪問看護財団(厚労省 看護職員需給分科会より)2025年推計

3. 増えたのに、「家に帰る」は増えていない

全国のDPC病院の退院先と、退院支援の壁

全国約4,700のDPC病院(急性期の病院)の退院先を集計すると、家庭へ退院した人の割合は2019年度の77.3%から2023年度の75.6%へ、わずかに下がっています(出典: 厚生労働省 令和5年度 DPC退院患者調査「入院経路及び退院先の状況」を当社で集計)。訪問看護ステーションがこの間に3割以上増えたにもかかわらず、病院から直接家へ帰る流れは太くなっていません。

病院の種類で見ると、全国82の大学病院本院は家庭への退院が91.6%と高い一方、その多くは「当院に通院」を前提とした退院(81.9%)です。地域の急性期病院(DPC標準病院群)では家庭へ74.8%、他の病院への転院が8.1%、介護施設等への入所が9.3%。4人に1人は、家以外の場所へ移っています。

背景には、退院支援の体制があります。病院が退院支援に取り組むための「入退院支援加算」の届け出は急性期の病棟では進んでいますが、高齢の患者さんが多く入院が長くなりやすい回復期・慢性期の病棟では遅れており、最大の壁は「専従の看護師・社会福祉士の確保」と報告されています(出典: 中医協 入院・外来医療等の調査・評価分科会・2023年7月)。病院の中に、家へ帰すための人手が足りていないのです。

DPC病院の退院先(各病院の構成割合の平均。出典・時点つき)
項目(主張)数値出典時点
家庭への退院(全DPC病院 4,679施設)77.3%(2019年度)→ 75.6%(2023年度)厚生労働省 令和5年度 DPC退院患者調査(8)入院経路及び退院先の状況(当社集計)2023年度
大学病院本院群(82施設)の退院先家庭91.6%(うち当院に通院81.9%)・転院6.1%・施設0.6%同上2023年度
DPC標準病院群(4,416施設)の退院先家庭74.8%・転院8.1%・介護施設等9.3%・死亡等7.6%同上2023年度
退院患者の退院後の行き先(全病院)家庭81.5%・他の病院・診療所8.8%厚生労働省 令和5年 患者調査2023年9月
入退院支援加算の課題回復期・慢性期病棟で届け出が遅れ、最大の壁は専従の看護師等の確保中医協 入院・外来医療等の調査・評価分科会(報道)2023年7月

4. 「家で過ごし続けたい」希望と、現実のギャップ

自宅で最期まで過ごせた人は、10年でほとんど増えていない

国の意識調査では、自宅で療養を続けたいと答えた人のうち、最期も自宅で迎えたい人は69.2%(末期がんの場合)。医師・看護師・介護職員も、ほぼ同じ割合で自宅を選んでいます(出典: 厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査」・2018年3月)。

一方、実際に自宅で亡くなった人の割合は、2010年の12.6%から2019年の13.6%まで、10年でわずか1ポイントの増加でした。2020年以降は新型コロナの影響で17%台に上がりましたが、2023年は17.0%と頭打ちで、病院での死亡はなお65.7%を占めます(出典: 厚生労働省 人口動態統計)。この間に訪問看護ステーションは2倍以上に増えています。ステーションの数と、「家で最期まで」の実現は、比例していません。

なぜ、看取りは進まないのか

訪問看護側の数字がそれを示しています。介護保険のターミナルケア加算を算定している事業所は25.2%(出典: 日本看護協会「訪問看護実態調査」・2023年3月)。機能強化型ではないステーション242か所を調べた研究では、在宅看取りを行っている事業所は73.6%で、管理者が在宅看取りの研修を受けていると、看取りを実施している確率が4.17倍、新人看護師に同行訪問を増やす支援をしていると3.12倍でした(出典: 日本看護科学会誌 42巻・2022年)。看取りを担えるかどうかを分けるのは、看護師への教育と支援の仕組みです。

訪問は一人で行きます。判断を一人で引き受ける場面があり、「自分の判断は正しかったのか」という不安が最も多いストレスだという調査もあります。看取りの場面ではその重さが増します。看護師が看取りへのハードルを高く感じている限り、ステーションがいくら増えても「家で最期まで」は増えない。これが、私たちが育成に力を注ぐ理由です。

希望と現実、看取りの担い手(出典・時点つき)
項目(主張)数値出典時点
最期を迎えたい場所に「自宅」(一般国民・末期がんの場合、自宅療養を希望した人のうち)69.2%(医師69.4%・看護師68.0%・介護職員69.3%)厚生労働省 人生の最終段階における医療に関する意識調査 報告書2018年3月(平成29年度調査)
自宅で亡くなった人の割合12.6%(2010年)→ 13.6%(2019年)→ 17.0%(2023年)厚生労働省 人口動態統計(死亡の場所別)2023年
病院で亡くなった人の割合65.7%同上2023年
自宅等での死亡者数2010年と比べて約2.5倍中医協 総会 在宅(その2)2023年
ターミナルケア加算(介護保険)を算定している事業所25.2%日本看護協会 訪問看護実態調査2023年3月(2022年8月実績)
在宅看取りを実施している事業所(機能強化型以外 242か所)73.6%。管理者の看取り研修受講でオッズ比4.17、新人への同行訪問支援で3.12日本看護科学会誌 42巻2022年

5. 小児の訪問看護は、まだ受け皿が足りない

利用する子どもは8年で2.7倍。受け入れているステーションは3割

訪問看護を利用する15歳未満の子どもは、2017年の14,415人から2025年には38,589人へと2.7倍に増えました。そのうち医療的ケアや難病など医療依存度の高い子どもは34.7%で、近年は発達障害など「精神及び行動の障害」を主な傷病とする子どもの利用が増えています(出典: 中医協 在宅(その3)資料・2025年11月)。医療的ケア児は全国に約2万人、15年で約2倍です(出典: 練馬区 医療的ケア児支援方針・2024年3月)。

ところが、小児の利用者がいる訪問看護ステーションは全体の約3割にとどまります(出典: 厚生労働省 介護サービス施設・事業所調査をもとにした集計)。子どもの訪問看護を引き受けられる看護師と体制のあるステーションは、まだ少数です。

小児の訪問看護(出典・時点つき)
項目(主張)数値出典時点
15歳未満の訪問看護利用者(ステーション・医療保険)14,415人(2017年)→ 38,589人(2025年)中医協 総会 在宅(その3)2025年6月審査分(速報)
うち医療的ケア・難病等(別表第7・第8)に該当する割合34.7%同上2025年
医療的ケア児の数(全国)約2万人(15年で約2倍)練馬区 医療的ケア児支援方針(厚労省推計を引用)2024年3月
小児の利用者がいるステーションの割合約30%訪問看護データベース(厚労省 介護サービス施設・事業所調査より)2023年

6. だから、トータルケアは24時間365日、定期訪問で支える

地域の医療インフラとして機能するために

ここまでの数字が示すのは、ひとつのことです。ステーションの数が増えても、「家で過ごし続けたい」という希望は、看取りまで引き受けられる看護師がいなければ叶わない。だからトータルケアは、次の3つにこだわります。

  • 24時間365日、断らない

    月に1回の訪問からでも、夜間・休日の緊急訪問に対応します。「今日退院」にも、看取りにも応えられるステーションであることが、地域の医療インフラとしての最低条件だと考えています。詳しくはトータルケアの訪問看護へ。

  • 看取りまで担える看護師を育てる

    「根拠がわかれば、訪問看護は怖くない」。有給の研修、運転免許方式の同行訪問、クローバー研修、キャリアラダーで、知識・技術・判断を学び直します。看取りが進まない理由が看護師の不安なら、答えは育成です。詳しくは育成支援へ。

  • 一人で判断させない

    訪問は一人でも、ひとりではありません。24時間365日の看護相談ダイヤルとスーパーバイザーが、迷ったその場で一緒に考えます。「自分の判断は正しかったか」という不安を、仕組みで受け止めます。

課題ごとの、トータルケアの取り組み

このページで示した課題と、トータルケアが実際にしていること(具体ページへ)
課題(数字)トータルケアの取り組み詳しく
退院しても家に帰る流れが太くならない(家庭への退院 77.3%→75.6%)退院前カンファレンスから退院当日の訪問まで、病院・訪問診療と一緒に動く病院連携室のみなさまへ/訪問診療のみなさまへ/ご依頼の流れ
「家で最期まで」が10年でほぼ横ばい(12.6%→13.6%)月1回の訪問からでも緊急対応。退院から看取りまで一つのチームでトータルケアの訪問看護/患者・家族の一生を支える/看取りの看護と地域課題
看取りを分けるのは研修と同行訪問(オッズ比4.17・3.12)有給の研修、運転免許方式の同行訪問、クローバー研修、スーパーバイザーひみつ01/ひみつ03/ひみつ05/スーパーバイザー
一人で判断する不安(訪問看護師の最も多いストレス)24時間365日の看護相談ダイヤルと、電話の一次対応を担うコールセンター看護相談ダイヤル/タスクシェア/看護師を支える仕組み
小児を受け入れるステーションは約3割小児専門チームが各拠点を支え、小児が初めての看護師も経験者と一緒に進めるココレ/調布の小児訪問看護/練馬の小児訪問看護
訪問看護師が増えない(就業看護師の6.7%)働く時間を自分で決める働き方、1分単位の給与、履歴書不要の面談、トライアル働き方自由自在/フェアな給与体系/看護師の採用課題/賃金とキャリア
国が求める「大規模化・機能強化」常勤看護師が中心・24時間・重症者と看取り・人材育成を全国の拠点で同じ仕組みに国が推進する在宅医療/全国のステーション/実績・エビデンス

国が報酬で後押しする「機能強化型」の要件、常勤看護師の厚い配置・24時間対応・重症者と看取りの受け入れ・地域の人材育成は、そのままトータルケアが全国の拠点で目指してきた姿です。全国のステーションは、地域ごとにその役割を担っています。

7. あなたには、日本の地域課題を解決していくチカラがある

看護のチカラで、「家で過ごし続けたい」を当たり前にする

医療費は増え続け、病院の病床は減り、それでも人は家で過ごし続けたいと願っています。その願いと現実のあいだにある溝を埋められるのは、制度でも建物でもなく、家に通い、判断し、最期まで寄り添える看護師です。訪問看護師は就業看護師の6.7%。あなたが一歩を踏み出すことが、そのまま地域の受け皿を増やすことになります。

あなたには、日本の地域課題を解決していくチカラがある。

訪問看護がはじめてでも、経験が少なくても、トータルケアには学び直しと24時間の相談があります。「家で過ごし続けたい」を、あなたの看護で当たり前にしていきませんか。

出典一覧

このページの数字の元資料(すべて公開資料)

「家で過ごし続けたい」を、あなたの看護で当たり前に

働き方のこと、研修のこと、看取りのこと。気になることは、カジュアル面談で何でもご質問ください。履歴書は不要。対面・WEB・電話・LINEから選べます。